“新型肺炎”、COVID-19流行へのリアクション的な音楽作品。これもまたステイホーム中の慰めのために供給されたアルバムでありそうだけど、しかし作者さまの能書きがモノすごい長文で……。あまりよく分からないが、まあそんな感じのものと解釈しとこうぜェ。
ところで、だ。オレがちょっと見てるようなまんがのエロコメに、こんなトンチキなヒーローがいなくもないんだよね。目の前の女の子の、顔を見ても誰だか思い出せないが、しかしそのパンツを見たら、「あー、お前はっ!」と想い出す。
……何のことかというと、ご紹介するアンビエント・クリエイターの《36》氏。実はワリに知ってる人だったんだけど、でも、しばし、それを想い出せなかったんだよね。
なぜってテーマのインパクト、そして検索用に打たれたタグ“covid19”(☆)の毒々しさ、それらについつい、注意をそらされて。これはしょうがないよね?
まあ〈ワリに知ってる〉と言っても、別に知り合いなワケがなく。前からちょっと、その音楽は聞いてるな、ってのみだけど。
そうして、「えーっとこの人の活動歴は、確か2009年くらいから……?」って思ったが、調べたらそれは意外に合っていた(☆)。
すごくない? これすなわち、顔が分からなくてもパンツは憶えてる、くらいのヒーロー的能力なんだよね。イエイッ。
いや、そんなオレの自マン話はもういいとして。うわさの36さんは、本名をデニス・ハドルストンというイギリスの人(☆)。
その作風は、温かみのあるドローン系、多少のネオクラっぽさ、くらいに言えるのでは。ドローン風の響きをベースとし、そこにメロディらを点描的に重ねていく、初期のアルバム“Memories In Widescreen”や“Hollow”らの印象が、きわめて鮮烈だった。
ちなみにアンビエントのレーベルで、通称・ASIP、《A Strangely Isolated Place》という団体があり、36氏もけっこう深く関わってきた(☆)。このASIPが言わばアンビ系の名門で、そのリリースらは全般的に趣味がよい、めったに失望させられることがない、と自分は思ってきた。
そして、そこにまたあらかじめ、“Isolation”孤立、みたいなキーワードが仕込まれていることに、いま気づく。困った意味でオレたちは、ヘンに時代を先取りしちゃっていたのか。
ところでけっきょく、パンツもしくは音楽の話なんだけど。
ご提供されたミニアルバム“Music For Isolation”、そ〜っと言うけど、あまり密度が濃いものという気がしないんだよね。いつものレギュラーな36作品と比べたら、相対的に。
ゆえに聞くならまず、さきに名を出した初期傑作ら、または2019年のフルアルバム“Fade To Grey”あたりをご推奨だろうか。
──ていうか? いまあらためてザザッと聞き直してみたら、36さんは初期のほうがシャープだった、近作らもイイけれど少々「音楽より」すぎないか、という気がしてきた。パンツを見なけりゃ分からないことが多いんだよね、ほんと。