エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

2019年のWebコミック、かってに選んだベスト5っ!! - 邪剣・オメガ・餓獣・電人・恋獄・そして絶望……!?

この2020年もすでに3月の末になって、いまさら19年の総括も少々何ンだけど。いや〜そこはそれ、《年度末》だから、みたいな概念で。昨19年に掲載スタートしたウェブ媒体のまんがで、印象の強かったタイトルら、そのまとめ&ミニレビューだよ!

ところで過去、似たような記事を2018年について書いているが()、そのときはベスト10だった。しかし今回は何かのつごうでベスト5しか選べない、ご理解よろしくねっ。
それに《ベスト5》と銘打っているが、実は6作品をリストアップしているぞ! まあこれはたぶん、どれかとどれかがニコイチで一人前(!?)、くらいな意味で。そしてそれが《どれ》なのかは、賢明なる皆さまの判断におまかせっ!
じゃ、イくよ〜っ!!(作品らの並びは掲載スタート日の順)

飛田ニキイチ「邪剣さんはすぐブレる」裏サンデー, 01/06〜)

近ごろハヤリのファンタジーRPGめいた世界、そこを舞台とするドタバタギャグ。フと発掘されたナゾのヌメヌメした大剣が、キモチ悪くもカンサイ弁の人語を語り、そして超破壊ビームを放って大暴れ。
それがおこがましくも《聖剣》を自称していやがるけれど、しかしどうしたって邪剣としか思われない。そしてそいつ&その眷属の不必要な活躍が、ヒーローである不遇の勤労青年の生活をハチャメチャに──。
というとちょっと悲惨な感じだが、しかし全体のふんいきに温かみがあり、読み味まろやかでグッドなんだっ。

サンドロビッチ・ヤバ子, だろめおん「ケンガンオメガ」(裏サンデー, 01/24〜)

ウェブ発コミックの大きな成功例のひとつ「ケンガンアシュラ」(2012-18)、その続編。さて格闘まんがとしてのこのシリーズが、2000年前後あたりに大ブームとなった傑作群「タフ・バキ・修羅」あたりに匹敵するほどスゴいかというと、やや疑問ではあるんだけど……。
かつまた根本を否定しちゃうようだが、前作から続く「企業らの代理で争う闘技者たち」という設定に、ロマンのなさを感じなくはない。いや、そのいっぽうの〈プロ格闘家たちが無償で生死をかけて強さを競いあう地下闘技場〉、なんてェお話もロマンがありすぎだけど。
だがともあれ現時点において、この《格闘》というテーマに対してシラケずにまっこう取り組んでいる、その姿勢は大いに買える。それにヒーローくんがカワイイし、またBLっぽいムードの匂わせ方がええやんけブフェフェフェ。

小池ノクト「餓獣」(コミックDAYS, 04/05〜)

これも不遇な勤労高校生が、通勤で早朝の地下鉄に乗っていたら、さらなる不運っ! 人喰いのバケモノらに襲われちゃいました。そして、逃げる! 次には追う! ホラー界では定評ある描き手・小池ノクトが、名作「6000―ロクセン―」(2011)でも扱った、ダークネス闇の世界の不安と恐怖を描く。
けれどこのまんが、ふんいきはひじょうによいけれど。しかし、ずいぶん展開がスロウなんじゃねェか──などとフと感じてしまうのは、自分があまりにもせっかちだからかェ?

蔵石ユウ/イナベカズ/田中空「電人N」(コミックDAYS, 04/22〜)

これも不遇な勤労青年が、さらなる不運で感電事故みたいなはずみに、何と言うのか「電子の世界に遍在する知的生命体」(?)へと変身してしまう。そして彼は“すべて”の電子技術を自在に操り、かつてクラスメイトだった地下アイドルの応援に精を出す。
そして、彼女のサクセスのじゃまになりそうな者たちを、次々に殺害! で、この怪事件の解決を依頼されたのが、探偵っぽいド変人の兄弟。そうして両者のバトル展開へ。
──それにしてもここいらで、不遇で不幸な青少年たちの登場がヤケに目立つのは、やはりいま現実の社会状況がそうだってこと? 安倍のせいかっ!!

俵京平「恋獄の都市」(少年ジャンプ+, 08/23〜)

平凡な大学生めいたヒーローと、その幼なじみの女の子ふたり。しかし彼らは気づいてしまった、彼らの生きている東京が模造されたニセの都市であり、かつそれがすみずみまで、奇妙な技術で監視されていることに。……この閉鎖空間からの脱出はなるのか!?
さてこの物語、それ自体の錯綜した迷宮ぶり、あえてよい風に言えば、ある時期のP.K.ディックのメイ作らみたいなんだが──。でも、実に難解難読なまんがだ、と感じさせられる。《ニセ》の要素があまりにも多すぎて、分からんチンになっちまう。
けれどものすごく印象的だったのが、第3話のおっぱい回。そのおっぱいアゲインのワンスモアを期待して、これを自分はチェキし続けているのか。

千田大輔「ヒロインは絶望しました。」(マガジンポケット, 10/14〜)

おしゃれでモテそうな女子高生ちゃんが、なぜかビデオゲームみたいな世界へと召喚され、モンスターらに虐待暴行されるハメに。その敵キャラの退治に手を貸してくれたのは、クラスメイトの陰キャぼっちオタク少年。がしかしコイツが図に乗って、手助けと引き換えに《いろんなこと》を要求してきやがり……?
さて人生にはさまざまな不幸や災難がありえるが、しかしゲームの世界に吸い込まれ──などということは、杞憂と呼ぶにもトゥーマッチ。けれどなぜなのか、いまそれが少々はリアルなのかなあ……などとも考えさせられる。ことによったら、《デジタルディバイド》への対応の余儀のなさ、みたいなこと? それにしても陰キャ小僧のドクズっぷりがヒドすぎて痛快。

赤い薔薇の花ことばは、「美」「情熱」そして「愛」…

で、以上! ではこの2020年が、皆さまとウェブコミックにとって実り多い年になりますよう、祈願いたしたてまつりつつゥ〜っ!