エッコ チェンバー 地下

─ €cco ₵hamber ฿asement, Vaporwave / Đésir đupłication répétition ─

栗原正尚・かざあな「ナノハザード」 と 久楽「猫田びより」 - いずれは有料、もしくは無料になるまんがたち

こうなることは、ほぼ分かっていた。だがしかし、明示的な警告を発することができなかったのは、自らの怯懦小心ゆえか。いや、もし仮に警告していたとしても、それがいったい幾人ほどの耳に入ったことだろう? 自分のごとき、名もなく小さな者の口からのことばが…?

なんて大げさだが、この記事は、先日ご紹介した栗原正尚かざあなによる「少年ジャンプ+」掲載のWebまんが「ナノハザード」についての続報など。しかし、まんがの《内容》の話ではない。

栗原正尚・かざあな「ナノハザード」の、(大部分の)有料化◇

その既報にて、<単行本は、第1・2巻が2018年12月4日に発売>と書いていた()。書いた時点で今作「ナノハザード」は、当時の最新話まで、すべてがWebにて無料で閲覧可能だった。
だがしかし、単行本が出てからはどうなるか? 少年ジャンプ+のレギュラーな商法からして、さいしょ数話と最新の数話だけは無料だが、その間の各話らは有料に、と変更されてしまうのでは?
…そのあたりは考えていた。そしてそのむねを、記事中で警告すべきかとも思った。ちょっと興味がおありという方々はお急ぎで、と。

しかしそれをいちどは書いてから消してしまったのは、ごく少数のすぐれた方々しか見ていない当ブログにて、そんな警告は大局的にあまり意味がないかな…などと思ったこともあり。また、貧乏くささを感じさせちゃうのでは、というミエのごとき感覚ゆえもあっただろうか。じっさい貧乏なのに。

で、本日がその単行本発売日の12月4日。見に行ったら案のじょう、少年ジャンプ+の「ナノハザード」の第4〜14話は有料化されていた、と()。

別にそうした商法を責める気はまったくなく、まあふつうだろうと思う。むしろいままで無料だったのが大サービスだった、それもそうだ。
しかしこっちの問題として、この事態――あまりハッピーでない予感の現実化――を見たら、思ったことを書かなかった悔恨が自分にとって、ややこたえるものがあったので、これからはなるべくヘンなガマンはしない、と決意。

◇久楽「猫田びより」の、《全話無料解放》◇

こうして無料から有料になるWebまんががあるいっぽう、逆に有料が無料になる作品もある。同じ少年ジャンプ+に掲載中の、久楽による脱力ギャグ4コマ「猫田びより」が、それ。

このタイトルも、自分が初めて見たころは、「さいしょ数話と最新の数話だけは無料だが、その間は有料」というおなじみのスタイルだった。それが確か2018年11月初頭ごろ、<広告料作家還元&1500話突破記念!>というアオリとともに、<全話無料解放>へ。1話あたりだいたい4コマが2本なので、3千本を超える4コマが全世界へと向けて無料でタレ流し、という大盤ぶるまい!

…が、そうなった理由は何だったのか? 純粋なる善意!? または有料読者が少なすぎて、広告閲覧で稼いだほうがまだマシ、というビズネス上の判断? まあ考えられることはあるけれど、ともかく自分はこれ好きなので感謝&歓迎っ。

かつ、この久楽「猫田びより」の<全話無料解放>にしても、別に永遠にそうだと宣言されているわけではない。そんな永遠は、Webの世界には存在しない。いつか再度の有料化ということも、じゅうぶん考えられる。
ゆえにわれらがヒーロー《猫田さん》の、無気力おきらくな生活をぞんぶんにウォッチされたい方々は、なるべくお早めに。…と、こんどはちゃんと警告、もしくはご提案をいたしたのだった。

薔薇の香りとやすらぎを、ここで貴方に…

以下は余談。文中に引用した<全話無料解放>という文字列を見ていると、この場合の《解放》は正しいのだろうか、《開放》のほうが適切ではないのか、という気もしてくる。

各語の本来の意味をまず見ると、《解放》とは囚われていたものが解き放たれること、「人質らは無事に解放された」。いっぽう《開放》とは単に開けっぴろげであること、「全台開放大サービス」、「夏は女子たちが開放的に…でもオレには関係ない!」、など。
そしてここでは《解放》が用いられているわけだが、すると有料の檻の中に閉じ込められていたまんがたちが、フリーの世界へと解放された、とでも言いたいのだろうか…分かるけど。